一石二鳥の夕張再生エネルギー創出事業

一石二鳥の夕張再生エネルギー創出事業

2015年10月15日(木)市内視察第2弾
地域資源「ズリ」の活用による夕張再生エネルギー創出事業

平成23年の冬は非常に雪の多い年となり、平成24年4月下旬に融雪が原因で高松のズリ山が崩落し「プトマチャンベツ川」が被災してしまいました。夕張市では、再生計画の変更を経て年度内に川の修繕工事を完了しました。ところが、翌年の平成25年5月に同箇所でズリの崩落による災害が発生してしまいました。(ズリ山とは、昔炭鉱で石炭を採掘した際に出た捨石を山のように積み上げてできたいわゆるゴミの山のこと)

このプトマチャンベツ川周辺には夕張桜守で管理している桜が多数植えられており、平成24年4月の1回目の災害発生以降、2年に渡って立ち入ることができなくなってしまいました。また、高松地区周辺で暮らしていた方には馴染みの深い「小鳩の滝」も崩落してしまいました。

同箇所で2年連続で災害が発生してしまったことから、災害の原因となっている上流にある高松のズリ山を何とかしなければならない状況となりました。しかしながら、財政再生団体である本市が莫大な工事費用(約5億円)を捻出することは困難を極めました。そこで、発想を転換して「ズリ山」を災害を生む危険な「ゴミの山」ではなく、地域資源の石炭を多く含んだ「宝の山」としてとらえ、ズリ山の中に眠る石炭を掘り出して発電用調整炭として販売することにしたのです。まさに、一石二鳥の発想といえます。

ズリ活用による夕張再生エネルギー創出事業夕張ホームページ:地域資源「ズリ」の活用による夕張再生エネルギー創出事業

事業スキームとしては、「産学金官ラウンドテーブルを活用し、公共事業として想定外の財政負担を回避し、地域産業の成長、雇用の維持創出を図り、なおかつ災害リスクの低減を図り、ズリ山の有効活用を実現」とされており、行政側からすれば美しいものです。しかしながら、この事業を実際に展開していく「産」を担う業者にとっては莫大なリスクを伴うことであり、生半可な覚悟では手を出せない大事業です。もちろん、交付金が支給されたり学者のアドバイスを得ることができるなどのメリットもありますが、私の個人的感想としては「イチかバチかの賭け」であり、『夕張のために』という気持ちなしには取り組むことが難しい事業だと思います。

そんな大事業に手を挙げてくれたのが地元で長年にわたり土木建設業を営んできた「北寿産業株式会社」(柳沼伸幸社長)です。昭和30年に先々代が起業されたときには炭鉱のあかり工事(ズリ山を成形したり、選炭した後の細かい石炭を沈砂層に沈殿させて発電所に運んだりする工事)をされていたそうで、元々石炭との繋がりのある建設会社さんです。

柳沼社長は今回の視察の際にもプラントや事業の概要の説明をしてくださいました。私は個人的に10年以上前からお世話になっており、この事業についても以前からお話をお伺いしていたので、柳沼社長の苦悩は十分理解してるつもりでした。ただ、現場を拝見するのは今回の視察が初めてで、想像以上に立派なプラントに驚くとともに柳沼社長の本気度を知ることができました。

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選炭作業は、まずズリ山から採取してきた土砂を上の写真の大きな機械の中に入れてふるいにかけ、ベルトコンベヤーでプラント内に運び入れます。

IMG_3377プラント内では、ベルトコンベヤーで運ばれてきたものを人工的に波をおこす機械に投入され石炭の比重を利用して石炭と土砂に選別されます。

 

その後、山の下方までベルトコンベヤーで運び出されトラックに積み込んで貯炭場に運び出されます。

今のところ計画通りの量が採れていないとのことですが、1日も早く事業が軌道に乗って安定的な収益を得られることを願うばかりです。