副市長のみの給与減額に反対

令和4年3月23日の北海道新聞朝刊(道央)で『事務手続き遅延 市職員2人懲戒』という記事が掲載されました。

事務手続き遅延 市職員2人懲戒

【夕張】市は22日、事務処理を遅延させた40代と50代の男性職員計2名をそれぞれ減給10%6カ月、戒告の懲戒処分にしたと発表した。処分は21日付。また、市議会は本間和彦副市長を監督責任により減給10%1 カ月とする議案を賛成多数で可決した。

(中略)

厚谷司市長は開会中の市議会に本間副市長の減給条例案を提出。本田靖人氏が「組織のトップとして市長も責任を負うべきだ」と反対したが、賛成5、反対1で可決された。

北海道新聞の取材に対し、厚谷市長は「これまでの同様事案に鑑み、副市長の減給にとどめた」と説明した。(高橋浩志)

北海道新聞朝刊(道央)令和4年3月23日

私は、当該職員の不適切な事務処理により市に多額(1,600万円)の歳入欠陥を招いたり、支払い遅延等により取引事業者に多大なご迷惑をおかけしたりしたことも問題だと感じましたが、その職員の管理監督責任を副市長のみが負い、市長については何の責も負わない今回の市の対応に強い違和感を覚え、令和4年第1回定例会最終日に上程された「議案第25号 夕張市特別職給与条例の一部改正について」に反対致しました。

反対討論に先立ち、本議案に関する質疑を行ったやり取りは以下のとおりです。

議案第25号に関する質疑

(本田)ただ今の議案第25号に関しまして質問をいたします。まず、本件の内容を決めたのはどなたなのでしょうか。

(市長)私でございます。

(本田)この内容を決めたのは市長ということでありますが、今回の内容の決定に関しまして何か法的な根拠、もしくは条例や規則等に基づいた判断なのかどうかについて伺います。

(柴木総務課長)副市長の提案説明にあった、前段の職員、一般職員の処分に関しましては、地方公務員法および夕張市職員の分限及び懲戒に関する条例に基づいた処分となりますが、今回の条例の改正案に関する処分に関しては、法律それから条例に基づいたものではございません。

(本田)そうなりますと、今回の内容を決めた、要は副市長のみを給料減額の対象としたというふうな内容を決定されたのは市長の独自のご判断ということでお間違いございませんか。

(市長)この度の副市長の処分でございますけれども、職員の事務瑕疵が発覚したことによるものでございまして、当市で定めております諸規定を踏まえますとともに地方公共団体の職員処分事例を参考といたしまして上位の管理監督者についても事務管理等の調査を行い、不備がないことが確認されたところでございます。そのうえで私が決定をしたということでございます。

(本田)そうなりますと、市長は今回の件に関する責任は副市長に責任があり、ご自身には責任はないという風な判断をされたという認識でよろしいですか

(市長)そのように判断したところでございます。

こうした質疑を受け、私は反対討論しました。

議案第25号に関する反対討論

(本田)私は、本議案第25号に関し、反対の立場で討論をさせていただきます。

先ほどの質問の中で、今回の議案に関する提案理由、また市長のお考え等をお聞きしたところでありますが、本改正案は職員の不適正な事務処理により市に多額の歳入欠陥を招いたことの責任を明らかにするためのものであります。本案においては、副市長にのみその責任があるとするものであり、本来責任をとるべきである、組織のトップである市長に責任がないことを認めるものともとることができます。この内容に関しまして、私は到底納得できないものであることから反対の立場で討論をさせていただきます。

議案第25号に関する賛成討論

(小林議員)私は、議案第25号について賛成の立場で討論を行います。

平成19年施行の改正地方自治法でそれまでの助役という呼び名が副市長に変更になり、従来の市長の補佐、市長の代理に加えて市長の命を受け政策や企画を司ること、市長から委任を受けた事務の執行を副市長の権限と責任において行うことが明確に位置付けられるなど、副市長の役割・権限が強化されました。その背景には、副市長の役割・権限を強化することで市長に政治的、対外的な職務に専念させるという意味合いがあるものです。地方自治法第167条に補助機関である職員の担任する事務を監督することが副市長の職務であると明記されております。今定例会で提出されている議案第25号夕張市特別職給与条例の一部改正について、提案説明でも職員の管理監督の任を担う副市長の責任を明らかにするためという理由で一部改正が提案されております。これは、先に述べた地方自治法で副市長が認められている監督責任者として当然の責任表明の在り方だと私は思います。よって、職員の担任事務を監督することは、副市長の職務である以上、職員の不適正な事務処理に対する監督責任は、副市長にあり今回提案されている内容は妥当であると思います。副市長は自ら講師となり若手職員の育成にも取り組んでいると聞いております。今後は、提案説明にもありましたチェック体制の強化などの再発防止策を講じていただき、二度の起きないことをお願い申し上げまして賛成討論といたします。

採決結果

こうした討論の後、起立による表決が行われ賛成5名反対1名の賛成多数で原案のとおり条例の一部改正案が可決されました。

賛成した議員5名:小林議員、君島議員、千葉議員、高間議員、今川議員

反対した議員1名:本田

(熊谷議員は欠席)